「せっこう」と「せっこうボード」
「せっこう」と「セメント」
「せっこう」って?・・・学校のチョークやグランドの白線を思い出してください。 「せっこう」は元々、「焼せっこう」と呼ばれるものと水を混ぜ合わせた結果、固まったものです。
また、「セメント」というものがありますが、水と反応すると固まるという点で「せっこう(焼せっこう)」と共通の性質を持っています。固まったものの用途としては、セメントはモルタルやコンクリートとして、せっこう(焼せっこう)は、せっこうボードとして身近に使われます。
どちらも建物を造る際に欠かせない材料ですが、その生成の過程と生成したものの性質はまったく違います。
せっこう(焼せっこう)は水と反応すると数分から数十分で硬化するので、量産が可能! ・・・工場では1分間に何十枚も生産!(通常、セメントの硬化は数時間から数日要します。)
「せっこうボード」のできる流れせっこうボードはリサイクルが可能。また、原料の生成過程で地球に害を及ぼしません! それどころか、公害防止にも一役買っています。
環境を考えた「せっこう」製品硬化の過程で収縮しません。したがって、ヒビが発生しません!
せっこうの化学反応
我々が目にする「せっこう」は2分子の結晶水をもつ硫酸カルシウムで、通常「二水せっこう」と言います。
- 二水せっこうは120℃~150℃に加熱すると結晶水全体の3/2を失って「焼せっこう」になります。
- 「焼せっこう」に水を加えると水和反応を起こし、再び元の「二水せっこう」に戻って固まります。
この性質を利用し、2枚の厚紙(原紙)の間に水で練った「焼せっこう」を流し込み、板状に固化させて、せっこうボードはできています。
原紙とせっこうの接着
せっこうボードは、主に、紙(一般的には原紙という)とせっこうからできています。 「焼せっこう」と水を混ぜて「二水せっこう」へと変化する際に、針状の結晶ができてせっこうが固まります。 紙とせっこうの接合の仕方は、この針状結晶が紙の繊維に食い込んで一体化するというメカニズムを用いています。 まず、せっこうを固めて板を作り、その上に接着剤を使って紙を貼り付ける方法ではないのです。
せっこうが火に強いわけ
せっこうが火に強いのは、その重量の約21%に相当する結晶水に秘密があります。
この結晶水は、通常の状態では非常に安定していて発散することはありませんが、ひとたび火熱に接すると熱分解を起こし、蒸発を始めます。結晶水がすべて分解して水蒸気となり、放出されてしまうまで、せっこうの温度は、一定温度以上に上昇しません。このことは、氷にバーナーで炎を吹きつけると、その部分は徐々に溶けて水となり、氷が全部溶けるまで氷の温度は0℃以下を保ったままという現象と同じなのです。
耐火性