吉野石膏株式会社


株式会社 岩野商会 様

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第十五回 株式会社 岩野商会 様

永らく吉野石膏の商品をご愛顧いただいている
お取引先様のお気持ちを“吉野愛”という言葉に
置き換えて、そのお心をお伺いに回る
タイガーくんの“吉野愛”をたずねて。
お仕事への思い、商品への思い・・・。
さて、どんなお話が飛び出すでしょうか!?

企業プロフィール

会社名 : 株式会社 岩野商会 様

住所 : 長野県長野市北長池2051

代表者 : 代表取締役社長 岩野彰 様

会社設立日:1955年(昭和30年)2月1日

事業内容 : 内装仕上工事、防水工事、ビルメンテナンス事業、 等

URL : https://www.iwano.co.jp/

第15回のお客様は、長野県長野市にある

株式会社岩野商会 代表取締役社長の岩野彰さんです。

お洒落で、若々しく、人間愛に溢れる岩野社長。

ご子息で取締役部長の貴広さんにもご同席いただき、

360°の視点から、業界全体が持つ問題の根本についてお話いただきました。

<岩野商会が大切にしていること>

  • タイガー)「岩野商会」のHPを拝見すると、本当に多くの視点から一緒に働く方、従業員の方に目が向いていらっしゃるな、という印象を受けます。


    岩野社長)うちは工事業ですから、なんといっても従業員が一番大切です。私は2代目(先代はお父様の故・岩野宏様)なんですが、これは先代の時から、職人さんの心をどうやって掴んでおくか、それと、ややもすると特に昔は奔放な生活になりがちだった職人さんたちの人生設計をどうするのか、は重大なミッションだったんです。昔は入ったお金でパッとベンツ買って現場に乗ってくる親方とかいましたからね。そこで弊社では父の代から、業界の先駆けとして「職人の社員化」を始めたんです。しかも社員にしただけでなく、給料を月給制にして退職金制度も加えました。しかし、ご存じの通り仕事量に繁閑の波がある業界ですから、当初はこのやり方は同業者からは大変冷ややかな目で見られていましたね。

 この制度は先代がとても大切にしていて、私が平成5年に社長を引き継ぐ時も「他は自由にやっても良いが、この社員職人制度だけは守れ」と、言われました。人件費は大きな固定費ゆえに、リーマンショックのような厳しい時には金融機関から再考の指摘を受けたりもしたのですが、私も父同様、この理念に感じ入っていますので、頑として守り抜いて参りました。今、弊社には軽鉄ボード工事、クロス工事、床工事の主たる3職で80人程の社員職人がいます。弊社で行っている専門技能訓練学園の卒業生や、新卒採用など、もっともっと多くの人が必要なので、欲を言うと忸怩たる思いがあるのも事実です。昨今は人手不足からくる工期の遅れが当たり前になってきており、それを憂慮しています。工程の組み換えが必要なぐらいになると、当然値段にも跳ね返ってゼネコンさんとせめぎ合いをしなければならなくなり、これは全く楽しい話ではありません。


 この「人の問題」は業界全体としても喫緊の課題ですから、なかなか簡単には解決はしません。高校生の採用でも過去に縁があった学校にはパイプがあるのですが、新規となると、これはなかなか難しい。東和の石田社長のようなものづくり大学のような活動をされている方や、福井県のタッセイさんのようなリーダーもいらっしゃるので、皆さんと連携を取ってあらゆる対策をしていかないとダメだと考えています。弊社が職務内容をDVDにまとめて高校に配布したり、テレビコマーシャルを打って知名度を上げる作業を行っているのも、その一環なんですね。


タイガー)外国人の方もいらっしゃるのですか?


岩野社長)実習生としてもう7期生を数えるベトナムの方が通算19人、そして12月にはミャンマーから3人を迎える予定です。東京の会社では実習生・研修生制度には慣れっこかもしれませんが長野県ではまだまだと思いますので、まずは目の届く範囲で仕事を学んでもらっています。


タイガー)職人さんのなり手を増やすために、必要なことは何だとお考えですか?


岩野社長)やはりお金ですね。待遇的なことでは、休日に関しては僕らの若いころに較べたら隔世の感があるぐらいある。けど収入にはまだ魅力が少ない。それに尽きるのではないかと思います。うちは野丁場と呼ばれるゼネコンなどが扱うビルや商業施設などの大規模な工事現場が多いんですね。仮囲いの中で多くの規制がかかり、危険もつきまとう仕事ですから、同じ単価だったらどうにも職人さんはやりたがらない。特にクロス屋さんなどは自由がきく住宅をやりたがりますよね。この現状を改善するには気合だけではできません。各業界団体や内装3団体が力を出し合って、心を揃えて考えていかなければならない問題ですよね。


 女性の活用も大切です。建築業界はまだまだ女性の現場活用について垣根があるような気がしています。他には従業員のメンタルケアは、皆さんが思う以上に大切だと考えていますので、専門家の手も借りながら職場として「心の健康づくり計画」を掲げて、ストレスフリーになるような心掛け、対策もしています。

  • <ベトナムからの実習生を歓迎する社内ポスター>

  • <次世代を託される取締役部長の貴広氏>

  • タイガー)今日はご子息の貴広部長にもご同席いただいています。


    岩野社長)今はそこそこ商売が良いだけに、本当に先行きが不安です。私はいつのまにやら色々な会議でも最年長(※75歳)の場所にいるようになっています。すると発想とか、若い人たちとの踏み込んだ会話とかができていないような気がしてきていますので、彼にはオフィシャルな場所を含めてどんどん出てきて欲しいと思っています。長年で出来上がってしまっている会社の風土についても「これでいいのか?」と考えることなどもやって欲しいですね。


    タイガー)というお父様の発言ですが、それを受けていかがですか?


    岩野部長)もちろんコロナなどもあるにはありましたが、東京オリンピックや北陸新幹線など大イベントが多く、建築業界のこの10年は追い風でした。つまり、私がこの会社に入ってからは本当に悪い時期を経験していないんです。弊社には先代の会長から受け継いだ、例えば綺麗に掃除を行うこととか、地域を大切にするとかなどの良い文化がありますし、心のどこかには「大きく舵を切ることをしなくても、今の好調な流れのまま続けばいいな」という考えがあります。ただ、若い現場の方と話をすると、例えば会社の制度などでも切り替えが必要かもしれない、と感じるのも事実です。


     社員が自分のことだけでなく会社のことも考えてくれているのを感じ、とてもありがたく思う中で、先ほど話に出ました待遇の事とか、それ以外の事も中堅社員などとコミュニケーションを密にしてこれからは拾い上げていきたいなと思います。私には祖父や父のような経験はないと感じていますから、だからこそチームで動く必要があるのではないでしょうか。うまくいっている時は失敗を恐れ、動きが止まってしまいがちですから、余力があるうちに打てる手が打てたらいいなと思います。

岩野社長)私は先代から「余計な事はしなくていい」と言われて引き継ぎ、ここまでやってきましたが、時代も業界の環境も変わっています。だから彼には「引き継ぐ」のではなく、先に先にと行って欲しいんです。これからは職人だけでなく、AIだったり、ロボットを使った作業だったりも出てくるでしょう。こうなると「投資」という仕事も出てきます。ここから先は彼の手によって、さらなる知恵と工夫と努力が必要なんですね。

<「吉野石膏」についてお聞きします>

岩野社長)吉野石膏さんは営業マンが必要ないぐらい(笑)工事をやる我々にとって必要な会社ですね。うちの建設仕事の5~6割が軽天ボード工事で、そこに他社さんの商品は殆ど無いわけですから。一回使ったら止められないと職人さんに好評のタイガージプトーン・ウルトラライトも先駆けて使っています。


 吉野さんが取り組まれている耐火と遮音には本当にありがたいです。職人さん任せではなかなか目が行き届かないところをしっかり見て、啓蒙してくれる動きは、さすがガリバー企業です。内装の細かいところは生活にそうは影響がないかもしれませんが、「耐火」と「遮音」だけはそうはいきません。失敗は躯体に大きな影響を与えるし、そもそも生活を守る根幹みたいなものですから。


 仕事の話としては、商品価格が上がることの良し悪しではなくて、上がった時の価格転嫁をどうやっていくかという課題がありますね。一生懸命売って増収増益だけど利益率低下で満足感が下がるのはよろしくないですから。ただ、ここはメーカである吉野さんではなく、我々が歯を食いしばってやる部分なんですよ。


 吉野石膏の機能性の高い商品についてですが、一昔前のただのせっこうボードというところからずいぶん変わってきましたよね。うちは設計通りにやっていく仕事なんで、自分で商品を選んで、ということは少ないのですが、Feボード、あれは楽しいな、と思いますね。どこでも会議室になるみたいなね。WEB会議なんかも多くなりましたから、ちょっと掲示板が欲しいと思うことも多いのですが、ホワイトボードを持ってこなくても壁にピタッと貼り付けられちゃうのはいいですよね。こういった機能性を持ったものをお客さんにも売っていけたらいいなと思います。それと、せっこうボードの重さは研究して欲しいかな。職人さんで女性登用がこれから増えてくるでしょうから、それを踏まえても非力でも作業がしやすくするのは全ての人にとっていいでしょ。事故防止にもなりますし、運送費的にもね。それとジプトーン・ウルトラライトのJIS認定、こちらは特に公共工事では求められる可能性が高いのでお願いします。


 あと吉野さんがすごいな、と思うのは吉野コレクションのような美術関係です。テレビ(BS日テレ ぶらぶら美術・博物館)でも放映していて、うちの連れ合いがいつも喜んで観ております。


 しかし、歴代の吉野石膏の営業マンとつきあって皆さんに感じることは「会社への忠誠心が強い」ということですよね。永作社長と潮副社長お二人のカリスマ性っていうんですか、これは群を抜いていますね。経営者としては驚く限りで、これはどの仲間と話をしても話題になりますよね。いや、恐れ入ります。そう言えばかつて、潮副社長が見えた時に業績の話をしたら、真剣な眼差しでノートを取り出されて、おもむろにメモを始めましてね。「これはヤバい!」と(笑)言葉を選びながら話したことを、今思い出しました!まぁ、冗談はさておいてこれだけのシェアを取っちゃうと逆にそれが辛いこともあると思います。

  • <吉野石膏の担当者と一緒に>

<インタビューを終えて>

 賃上げだけではなく、従業員のこころのケアや、車の運転を管理するソフトを導入するなど、本当に大切な従業員の安全と働きやすさを追求している岩野社長。業界団体で多くの要職を務められる岩野社長は「未来の安泰を図るためには、正しい規則をつくって律していくことも大切」と、力説されていました。


 良い時にこそ、しっかりとした基礎を作って、余力を蓄える。その余力が次の働きやすさにも繋がっていく。


 先代から受け取り、30年かけて綺麗に磨かれたバトンが間もなく、ご子息に渡されようとしています。そんな岩野商会本社の外構には、道行く方へ幸せのおすそ分けをされるかのように、丁寧に手入れされた綺麗な花々が咲いていました。


 まだまだ先にある理想のゴールに向かって、全力で走る「チーム岩野」。

皆さんに黄金に輝くメダルが届きますように!

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