吉野石膏株式会社


アオケン株式会社 様

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第二十七回 アオケン株式会社 様

永らく吉野石膏の商品をご愛顧いただいている
お取引先様のお気持ちを“吉野愛”という言葉に
置き換えて、そのお心をお伺いに回る
タイガーくんの“吉野愛”をたずねて。
お仕事への思い、商品への思い・・・。
さて、どんなお話が飛び出すでしょうか!?

企業プロフィール

会社名 : アオケン株式会社 様

住所 : 福岡県福岡市博多区上牟田1-18-23

代表者 : 代表取締役 後藤 勝 様

会社設立日:1988年(昭和63年)2月25日
 創 業 :1940年(昭和15年)11月

事業内容 : 防水工事、内装工事、金属工事、保温保冷断熱工事、外装工事、リフォーム工事建築資材販売、港湾土木資材販売

URL : http://www.aoken-inc.co.jp/index.html

第27回のお客様は、福岡県福岡市博多区にある

アオケン株式会社 代表取締役社長の後藤勝さんです。

 

「ちょうど6尺あるからね」とおっしゃる大きな体は迫力満点。

しかし、その大きな体の中にはたくさんの優しさと男気が溢れかえっていました!

<会社と、後藤社長ご自身のことをお伺いします>

後藤社長)この会社は昭和15年創業の古い会社で、最初は名前も「青盛工業所」としてスタートしたんです。今の「アオケン」の名前になったのは昭和63年。私がこの会社の試験を受けた時の名前は「青盛建材株式会社」、そして4月に入社してみたら「アオケン株式会社」に名前が変わっていたんですね。私は同族でも何でもなく、この会社に新入社員で入ったということです。

この仕事に入ったきっかけですが、私は学生時代に工務店さんでアルバイトをしていたんです。しかし、この工務店が、たかがアルバイトに対してもちゃんとしていて、なかなか厳しかったんですね。それで逆にこの業界に興味を持ち、「九州の会社で、一番大きいところはどこですか?」と聞いたら、ここだ、というのでこの会社を受けたという、今となっては単純な理由なんですね。

 私は身体が大きいから、足場の上だと自由も効かないし、特に私が若いころの足場は、身軽さが求められる160cmちょっとの職人さんを想定して組まれていたので、私は身体を小さくかがませながら作業をすることになり、効率も悪かったんです。そこで入社してからは、現場の作業員ではなく現場管理者としての仕事をやることになりました。

 

 若い時の出来事で忘れられないことがありましてね、私が32歳の時、作業はすでに回り始めているのに契約が滞っていた、という現場があったんですね。契約ができないと請求もできず、手出しはかれこれ6,500万円以上に膨らんでいました。当然、だんだんと焦りますよね。そこで、「契約させてください、請求させてください」とお願いに行くと、「わかった、じゃ、どこまでやったか明細持ってこい」と言われたんです。そこですぐに全部の明細を出すと、今度は「払ってやるけど、現場の職員全員に、今日中にハンコもらってこい。そうしたら今月間に合わせてやる」と言われましてね。当時、職員が30~40人はいましたでしょうか?今で言うところのイジメですね。一人一人に頭を下げながらハンコをもらっている時は、悔しくて涙が止まらなかった、そんな忘れられない思い出があります。ただこの方には別の想いがありまして、私は精算の時にいつものように数量を全て出していました。ある時、いくつかの内装業者が集まる中で「ここ、なんでこんなに増えとっとや?」と質問が飛んだんですね。それに即答できたのが、数量を自分で出していた私だけだったんです。すると、そこから逆に気に入られましてね、あのハンコもらってこいオヤジに(笑)。それからはその方が偉くなられてからも可愛がって頂きました。周りから「なんでこんなに若いやつに、こんなに大きな現場を任せているんだ?」という声が飛ぶ中でも、ずっと指名を頂きました。


 自分で言うのも何なんですが、こう見えても結構真面目なんですね(笑)。特に材料の手配には厳しく、極端に言うとクリップ1個でも残さないようにやりたい性格なんです。いつ、どんな現場でもこれを心掛けて、残数ゼロに挑戦し続けていました。これって、いいことだらけですからね、面白がってゲーム感覚すら感じながらやってきたと思います。

 どうやったら建築材料のロスを無くすか。とにかく無駄を無くすことが私の仕事のポリシーのひとつだと思っています。他の現場で余ってしまったせっこうボードを他の現場に持って行った時に、「おい、これ“空港”って書いてあるぞ」と笑い話になったこともありましたね。

 今は全ネジですが、昔は吊ボルトに両ネジもありました。950とか1050の重たいボルトを450本、足りなくなったと職人に言われて、担いで8階まで階段で運んだんです。汗だくで、やっとの思いで届けると「ああ、間に合ったからもういいよ」なんてさらっと言われて、こちらは力関係が弱いから言葉を飲み込むしかない。そんなこともあり、とにかく舐められないためには、材料をきっちり揃えて、「こいつ若いのにしっかりしているな」と一目置かれる、それしか方法がなかったんですね。

 大手ゼネコンのナンバー3ぐらいにまでなった方なんてね、私が社長になってもう11年も経つのに、いまだに「後藤君のイメージは、シャツ1枚(※昔は現場で半袖姿が許されていました)で、材料をえっちらおっちら上げている姿しかない」って言うんですよ(笑)。

タイガー)そんな後藤社長が“影響を受けた本”があるとお聞きしました。

 

後藤社長)はい、永守重信さんが書かれた「成しとげる力」です。そこには「頭が良いIQ社員よりは、熱意や根性のようなEQが高い社員になるべき」と、書かれています。大切なのは「情熱」「熱意」「執念」だと。永守さんが使われる言葉が自分には真っすぐ心に届くので、他の著名な方が書かれたどんな本よりも共感する部分が多いと感じています。

 私は本を読む時はだいたい3回読むんです。最初は一気に読まないと気が済まないタイプなんで、ぶわぁーっと流し読み。2回目はじっくりと読んで、3回目は大事な部分に線を引きながら読む。気に入った本は読み終えた後、私の4つ違いの弟に送っています。弟は高卒ですが、大卒揃いの中でも頭角を現し、大きな会社で良き上司に恵まれながら立派に出世して頑張っている、まさに高EQ社員ではないかと思うんですね。そんな弟を誇りに思います。

うちは兄弟の仲が良くてね、それは父の影響かと思うんです。毎年正月になると父は墨を使って書き初めのようにその年毎の想いを書き、トイレに貼るんです。達筆な文字でしたためられた「男はこうでなくてはならない」的な、男としての生き方についての言葉を。しかし、あまりにも字が上手すぎて読めず「おやじ、あれなんて書いてあっとっと?」と聞いたこともありました(笑)。そんな感じで兄弟揃って、小さな頃から色々と美学に近いことを叩き込まれたんでしょうね。間違っても年下とか、自分より体が小さいヤツとか、身体が不自由な方とか、絶対に弱い者いじめをするなと厳しく言われました。今でも揺るぐことのない、父から教えられた「男気」をしっかり持ちながら子ども時代を過ごしたものですから、仮に喧嘩をするとしても仲間を守るためとか、大人になる前の成熟していない心でも、「これは男として間違っていないか?」と考える、明快な基準、心の中の太い線引きがありましたね。

 そう、こんな話があります。「とにかく残業しろ」という指示をする上司がいましてね。「残業したら誰かが見ている。自分もそう教えられて実践してきた。だからお前たちも残業しろ」と。一方で効率命の私は殆ど残業したことが無いし、したくない。時間内できっちり仕事を終えることこそが信念、美学ですからね。私はその10歳上の上司に「残業したら偉くなるなら、誰だって偉くなりますよね?俺は残業しませんよ」と、意見したんです。すると定時で帰ろうとする私の帰り際とかにわざと「これやって」と追加の仕事を投げてくるんですね、上司が(笑)。

 「これ、いつまでですか?・・・分かりました」。

もちろん私は、意地を持って、納期を2週間前倒しして戻したんです。そこで考えました。「どうやったら嫌な上司が、私に余計な仕事を投げてこなくなるだろうか」と。

 そこでやったのは「現場を沢山持つこと」でした。普通のサラリーマンは現場の面倒を見たくないんです、なぜなら給料が変わらないから。けど私は上司に使われたくなかったんで、普通の人の倍ぐらいわざと担当したんです。そりゃキツイですけど極めてクールな顔してね。するともうこれが良いことだらけでして。まずは職人さんがいっぱい集まってくるじゃないですか。するとそのうち人繰りの自由も効くようになってくる。そしたらね「後藤、来週ちょっと職人さん貸してくれないか?」と下から言ってくるようになったんですよ、上司が(笑)。私、クールに「ああ、いいですよ。けど・・・1週間だけですよ」なんて受けてやってね(大爆笑)。もちろん売り上げは断トツになるし、上司は邪魔しなくなるしで、あれは痛快でしたね!

 

タイガー)いやぁ、どれも男気溢れるお話ばかりで、お聞きしていてワクワクします!強さと共に優しさも持ち合わせておられる後藤社長、私たちの調査では素敵なボランティア活動を続けておられる、とお聞きしましたが・・・。

 

後藤社長)え?その話もするんですか?いや、嫁も知らない話なのに参ったな。

 

タイガー)良いお話なので、是非。

 

後藤社長)15年ぐらい前に福岡育児院とご縁ができましてね。そこは児童養護施設ですから、虐待など様々な理由で親から見放されてしまった、もしくは保護された子どもたちが生活している場所なんです。私はこちらとご縁ができて以来、毎年、ここで暮らす新小学1年生に水筒や弁当箱、上靴入れ、クレヨンなどを満たしたリュックサックを持って行っているんですよ。・・・しかし、この数年は幸いなことにこの新1年生がいないんですね。これは残念な事では無いですよ、虐待で保護された子がいなかった、という嬉しい話なんです。そこで新中学1年生や、新高校1年生に、その生活スタイルを考えてイヤホンとか化粧ポーチとかを贈っています。私がやることが無くなる日が来ることが、一番良いことなんですよね。

 少しでも親の愛情に近い体験をしてもらおうと、ちょっと値段高めのお菓子や果物などを持っていく時があるんです。そうでもしないと施設にいる間、彼らはなかなか口にできないじゃないですか。それが不憫でね。その時に必要数を聞くと、50を超える数が返ってきているのが現状ですね。これがゼロになるのが願いです。

 

 これね、見た方はどんどん私の真似してください。虐待を受けた子どもたちのために、困った方のために、助け合うために、どうぞよろしくお願いいたします。

<「吉野石膏」についてお聞きします>

後藤社長)お話したような経歴ですから、吉野石膏さんとは新入社員の時からのお付き合いです。吉野石膏さんを一言でいうなら「いい会社」ですよ。業界を引っ張る、責任ある立場で、トップシェアだからこそやらなくてはならない啓蒙を、時間とお金をかけてしっかりやっていらっしゃる。いくら吉野石膏で一級品の物を作っても、施工者が二級品だったら、仕上がりは知れています。プライバシーや命に係わる認定も取れない、これでは何の意味もなさないです。私は現場を預かっていたころから熱意をもって吉野さんが伝える正しい施工法を、こちらも熱意をもってチェックしていましたし、それを日本中の職人さんたちがきちんと行ってきたからこそ、おそらく吉野石膏の耐火ボードが何人もの人の命と財産を守ってきたのだと考えています。こういった信念を持った会社が吉野石膏ですから、これは素晴らしいですよね。

商品については、どれもだいぶ軽くなってきた(※ジプトーンウルトラライト、ソーラトンライト・ワイド、タイガーEXハイパーなど)ということでこれは大変良いことだと思います。また耐火認定ですが両面ピッチボードみたいな商品はあるものの、やはりもっとシンプルにして欲しいなとは思いますね。

 

タイガー)営業マンには何かございますでしょうか?

 

後藤社長)(間髪を入れず)うん、彼はちょっと飲み過ぎだね~(笑)。彼ね、一緒に行くでしょ。そうすると最初の一杯なんか、「いただきます」の声から、ジョッキが空になり、氷がカランと鳴るまで、たった数秒だからね。私も強いほうでペースは負けたことないけど、彼には負けますよ。カラン、カランと、横でずっと音がしてる(笑)。

<インタビューを終えて>

お仕事のご苦労話から始まって、優しさと気配りのボランティアスピリット、今に見てろのド根性話、ハンデ3の凄腕ゴルフ話と、話題が尽きない2時間のインタビューは男気と優しさが溢れ、そして非常に根が真面目な苦労人なんだなぁ、という印象を受けました。

 

 タイガーくんがホテルに帰ったら、なんと後藤社長から「今夜いかがですか?」と、焼き鳥屋さんへのお誘いが!ウキウキしながらお邪魔し、弾む空気の中、気が付くとあっという間に3時間が!ここではご紹介できないような裏話や武勇伝も満載でした。

 

 後藤社長、社長ご就任直後の3期、赤字決算が心配で、毎晩びっしり寝汗をかき、眠れなかったというお話、ここで書いてしまいますね。これからも九州トップクラスの会社社長として、また、男の中の男として、多くの優しさと心意気を私たちに与えてください。

 

 本日は長時間ありがとうございました。そして、ご馳走様でした!

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