橋本建設株式会社 様
第四十三回 橋本建設株式会社 様
永らく吉野石膏の商品をご愛顧いただいている
お取引先様のお気持ちを“吉野愛”という言葉に
置き換えて、そのお心をお伺いに回る
タイガーくんの“吉野愛”をたずねて。
お仕事への思い、商品への思い・・・。
さて、どんなお話が飛び出すでしょうか!?
企業プロフィール
会社名 : 橋本建設株式会社 様
住所 : 広島県広島市安佐南区上安1丁目1番29号
代表者 : 代表取締役 橋本 英俊 様
会社設立日:1982年(昭和57)年4月
事業内容 : 住宅建築 増改築業務 住宅分譲 伝統建築
第43回のお客様は、広島県広島市にある
橋本建設株式会社 代表取締役社長の橋本英俊さんです。
明治5年の創業以来、先祖代々で大切にしてきた会社を、5代目として受け継がれて11年。その内に秘めるDNAと、ここから先の展望について語っていただきました。
<歴史ある会社とのご縁からお聞きします>
橋本社長)橋本建設は明治5年に初代・橋本源助が「橋本組」としてこの上安地区に「大工さんが集まる建築請負業」として創業以来、150年を数える会社です。それ以降、ずっと個人の住宅を建てる仕事を行ってきたんですね。2代目の源一、3代目の一(はじめ)と繋がり、義父・一からの4代目を私の父・河井英勝が継ぎ、そして私に至ります。私も最初は河井姓でしたが、社会人になると同時に橋本家に養子に行く形で改姓いたしました。
元々、私はこの会社を継ぐ気は無かったんです。大学の学科は経済学部経営学科なんですが、まぁそれも消去法というか、文系としてつぶしが効く学科として選んだような状態でしたから。ところが3年生で就職活動をしている時に父から「お前の遺伝子はな・・・」と、こんこんと説かれ、そ知らぬふりができない状態になりました。今も会社の大事な指針としている「家を建てていただいた方の家守(いえもり)として寄り添う」という家訓のような言葉の意義を父から聞き、私の中のスイッチがONになったんですね。父は私に「とはいえ、お前は建築の事を何も知らないだろう。大学を卒業したらまずは建築の専門学校へ行き、基礎を勉強してこい」と告げ、私は東京の専門学校へ行くことになりました。大学を出てからですから、専門学校ではほとんどが4歳年下ですよ(笑)。そこで2年間、建築の勉強をしたのちに、武者修行を兼ねて、学校からも「あそこは厳しい会社」と言われた大手木造住宅メーカーの埼玉支店に就職したんです。
ここでは営業マンとして働きました。これが今となってはとても役に立っています。一般的な話ですが地場の工務店は住宅メーカーと違って営業力が弱いと言われます。弊社も同じく三代目までは全く営業をすることがありませんでした。先代の時代は大手ハウスメーカー全盛期で弊社も三井ホームさんや近鉄不動産さんの下請け工事を多くさせていただいていました。一般の元請け住宅もご依頼を受けたりはしていましたがお客様に住宅ローンや減税制度など「資金計画」を提供できる知識も担当もおらず、良い家を建てるという地域の工務店でした。
その後、徐々に「大工だけ貸してくれ」という良くない流れに傾き始め、それを断ち切るために、仕事の受け方を元請け方向にシフトさせていったんですね。言うまでもありませんが、これ、今の工務店が置かれている状況とは大きく異なります。今の工務店はお客様の経済状態や今後の見込み、さらにはライフスタイルまでをもシミュレーションして、返済計画まで一緒に考えなければならない。このノウハウを営業が厳しい住宅メーカーの実戦の場で7年間、しっかり学ぶことができたのは良かったなと思っています。一方で、大手では下手をするとクレームの元にもなりますから、お客様を自社の基準(既製品)に引き込む説得作業をやらざるを得ないわけです。これは工務店での仕事の進め方と大きく異なるところで、元々工務店の人だった私には「お客様の自由度を大きく、お客様と素材ひとつひとつからじっくり話し合い、納得していただく家づくりをやってみたい」という思いが強く芽生えました。
31歳で弊社に入社して21年が経ちましたが、入社当時は社内での自分のポジションの確立をすることが大変でした。当たり前ですが周囲は「社長のボンボンが帰って来たぞ」と思うわけです。白い目、疑いの目だらけの中、自分でも世間からは「会社を潰すのは二代目か三代目の後継ぎ」という目で見られていることを意識していました。当時は先ほど申し上げた理由で当社には営業部が無いような状態でしたから、まずはそこをしっかり立ち上げる仕事から入りました。当時の集客方法は専門雑誌からの資料請求が中心でしたが、そこでつながったお客様を契約に導くまでのやり方を当時の橋本建設は持っていなかったわけです。そこで、住宅メーカー時代に学んだ見学会や家を買うための様々なサポート、また当時はしりとなっていたホームページ・メールを使ってのセールスややり取りを行い、クロージングまで持っていく作業を率先して行っておりました。それでも1棟目の契約をもらうまで10カ月もかかった苦い思い出がありますね。
<橋本建設のことを教えてください>
橋本社長)社長になって11年、もちろん今も営業マンでありながら、一方で経営者を行っているわけです。経営での一番の問題は「人」ですね。個々が必ずある中で、一緒にどうやってチーム力を高めていくか。いかに皆が気持ちよく仕事ができる環境をつくるか、というのが私の一番の仕事だと思っています。それが功を奏しているのか今、うちの社員は本当に辞めないんですよね。産休取ってから戻ってきてくれる人もいますし。これって本当に有難いです。良い会社の、良い人たちによって、良い現場で建った家なら、良い仕事になっていますから、お客様にきっと満足してもらえるのではないでしょうか。
<資格取得者の証がずらりと並びます>
家づくりでは素材の見極めも大切ですが、同じぐらい大切なのは技術です。橋本建設では国家資格取得に重きを置いており、当社に協力会社として関わってくださっている14人の棟梁さんは全て国家資格・建築大工1級技能士の所持者です。また、大工さんも自社で育成した方で作業を行います。中には親子でお仕事してくださる方もいらっしゃり、橋本建設の大切な財産になっています。私の代に変わる時に全ての職人さんと面談をしたのですが、皆さん一人親方が多く、仕事ができなくなった後の生活を考えていない方が多かったんです。凄腕の棟梁も衰えて引退すると最後は生活保護を受けるような事態にもなりかねません。これでは忍びない。舞台にマイクを置いて引退した山口百恵さんの例えではありませんが、職人さんがノミと玄翁を置いたあとの花道は作って差し上げたいですよね。そこで退職金制度に通じる、会社からの積み立て補助も始めました。職人さんは会社員と違いますので、暫定的に70歳と定めたのですが、このラインを定めることで一緒に人生設計ができるようになったのは良いことだったのではと思っています。
同じ太鼓ではないので打って響く音は皆それぞれですが、基本的な理念が通じている方が揃っているので、社内の風通しは良いと思いますし、みんな仲が良くて、中にはうちの社員と結婚した大工さんも何人かいらっしゃいますね。
工務店は、家を建てて終わりではありません。そこからお客様との末長いお付き合いが始まります。だから私は何十年経った後も想像して、メンテナンス性に疑問がある素材をお勧めしていません。エビデンスに乏しい新素材も使いにくいです。また気密性にしても耐震等級にしても、やみくもに数値だけを上げた高機能住宅にも疑問を感じています。それこそ貴重なご予算の中、扱いやすいファミリーカーを求めているお客様に「高性能なF1はいかがですか!?」と言っているようなものですから。性能の数値が上がったからといって、住み心地が上がるわけではありませんし、メンテナンスにも多くの手間と費用がかかります。お客様が本当に望まれる「住み心地」をしっかりお聴き取りして、良質な構造、良質な素材、そして私達の持つ最高の技術で理想の家をご提供できるように、そしてその日から最高の家守になれるように、毎日精進しております。
<「吉野石膏」についてお聞きします>
<吉野石膏の担当者と>
橋本社長)吉野石膏の商品を使わない日はないですから、「愛があるか?」と聞かれたらそれが愛かは分からないですが、毎日寄り添っている関係、ということになりますかね(笑)。吉野石膏さんはこの8月からリサイクルせっこうを50%以上配合した「タイガーR50」って商品を出されたでしょ?さらには100%に向けて作業されていますよね?今、全体の10%ぐらいがリサイクルできている状態と聞いてます。
タイガー)はい、ありがとうございます。リサイクルせっこうを使って新たなせっこうボードを作るわけですが、その際にまたエネルギーを使ってCO₂を出してしまっては意味が薄れますので、製造の際のエネルギーにも配慮をした方法でつくられたものです。
橋本社長)それって、すごく良いですよね。これは「R」指定で発注をしないと(笑)。価格はどうでしたっけ?
タイガー)通常のものよりは少し高い値段になるかと存じます。
橋本社長)これが普通のと変わらない値段だったら使わない理由がないですよね。昨今のSDGsでは色々な責任が企業に生じていますが、せっこうボード自体が元々環境負荷の低い素材でもありますし、このように骨のしっかりした政策には関心が湧くとともに、応援したくなりますよね。
タイガー)ありがとうございます。エネルギー面でも吉野石膏では全てのボード工場でグリーン電力の導入を行うなど、CO₂削減への取り組みをただいま全力で取り組んでおります。引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。
橋本社長)外壁もね・・・、正直まだ外壁にせっこうボードって抵抗があるんです。データとしては分かるんですが・・・。もう少し様々な様子を見て採用の判断をしようかと思います。
タイガー)ありがとうございます。12mm のEXボードから始まってからまだ10年もたっておりませんが、実績を積み重ね、その間、新商品も多く発売いたしました。重さだけでも32kgが19.5kgまで軽くなっております。軽さもそうですが、高い壁倍率により筋交いが不要となりますと、施工性の向上や施工時間の短縮など、多くのメリットが出てまいります。また合板との価格差などもお考えいただき、ぜひご検討いただければ嬉しく思います。
橋本社長)あ、あとFeボードの付く力がちょっと弱いよね、あれは磁石側の理由なのかな?
タイガー)サンプルとして磁石も併せてご提供が可能なのか、などを持ち帰って検討いたします。貴重なご意見ありがとうございました。
<インタビューを終えて>
商工会の役員やPTA会長などの要職をすでに務められている橋本社長。これからは祭りや清掃活動などの地域貢献もさらに進めていきたいとおっしゃっていました。
橋本建設が「家守」として大切にしているのはお客様との物理的な距離感、「片道1時間半以内で到着できること」です。これからも地域密着、広島市の頼れる工務店として、ますますのご発展をお祈りしております!
橋本社長、当社の様々な取り組みに、多大なる関心を持っていただき感謝申し上げます。吉野愛をたっぷりいただいたインタビューでした。ありがとうございました!
<木の良さが全て詰め込まれた「木造りの家」>