実際の部屋での遮音性能(D値)の予測手法
本手法について(但し、予測値は参考値であり保証値ではありません)
- 本手法は音響の専門家以外の人が、現場での2室間の空気音遮音性能(室間平均音圧レベル差:D値)を簡易に予測する手法です。D値は、遮音壁の実験室での空気音遮音性能(TLD値)から、現場の施工状況や実際の部屋の設計仕様等による遮音性能の低減値を差し引く事により求めるよう工夫されており、チェックリスト形式となっています。
- 本手法は日本建築学会編「建物の遮音設計資料」の推奨値、「建築物の遮音性能基準と設計指針」及び各種文献を参考にして、当社の実測例を基に定めたものです。
- 現場での遮音性能予測値に最小~最大の範囲があるのは、現場の窓・ドア等の部材は製品により遮音性能に大きな差があるのと、音響の専門家以外の人が簡易に予測する為に、チェック項目より専門的事項を省略して一般的な事項にしぼっている為です。なお、特殊な場合は最大を越えて遮音性能が低減する場合も多々あります。あくまで参考値と考えて下さい。
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本手法の対象壁は正規の施工手順で施工された壁で、四周シールも完全に施工されている状態の壁であり、それ以外の壁については適用されません。
- 現場でのチェック例を別紙に示しますが、遮音的に完璧に近い設計的対処をしても4dB程度ダウンします。音の廻り込み等が大きい場合は10~15dBダウンします。したがって例えばTLD55の遮音壁を採用した場合には良い場合でD50、悪ければD40~45になってしまうということです。
予測手順(必ず予測現場の施工状況及び図面のわかる人が予測して下さい)
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予測手順は以下の手順となります。
(1) チェックリストの各項目の内容を、添付の解説書をよく読み理解します。
(2) チェックリストの低減特殊要因の各項目を、図面及び現場をよく観察してチェックします。
(3) 遮音性能の低減要因の最小・最大各々の合計を以下の式で求めます。
(低減値の合計)=(低減基準値)+(チェックした低減特殊値の合計) - 低減特殊要因は現場の状況により遮音性能が低減する要因で、チェックした項目の合計を上式に当てはめます。
- 低減基準要因は必須項目で必ずチェックします。現場での遮音壁以外の床スラブ及び上記低減特殊要因でチェックしきれない事項からの音の廻り込みがある為、実験室での遮音壁そのものの遮音性能より、遮音性能が低減します。低減基準要因はその分の補正項で-4dBと定めました。
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実験室と現場の遮音性能の差は別紙「TLD値、D値の違いの説明図」を参照して下さい。
(4)TLDより以下の式で現場のD値予測値の最大・最小を求めます。
D値の最小=TLD値-(3)で求めた低減値の合計の最大値
D値の最大=TLD値-(3)で求めた低減値の合計の最小値
(D値:実際の部屋での遮音性能予測値)