石膏製品エトセトラGypsum Product Etcetra
せっこうボードは耐火、耐震、遮音、軽量化といった特長を生かし、ビルや住宅の壁材、
天井といった建築素材として使用されています。石膏そのものの用途はこの他にも多彩で、
自動車モデルなどの模型、医療用ギプス、歯科模型、陶磁器型材、光学レンズ研磨用の固定材、
グラウンドなどの白線、さらには豆腐、ビール、アイスクリーム、パンなどの食品添加物としてなど、
私たちの日常生活に幅広く使用されています。
安全で快適な
住環境作りに威力を発揮
耐火性、遮音性、耐震性に優れ、膨張や収縮がほとんどなく、加工がしやすい上に、軽くて乾式である点がせっこうボードの最大のアドバンテージです。セメントのように水と混ぜて使う建材を湿式、これに対して水を使わないで 乾いたまま使える材料を乾式と呼びます。乾式の利点は、乾くのを待つ必要がないこと、すなわちすぐに次の工程に移れるため、工期の短縮につながるのです。生産する側からみても、生産効率性が高いというメリットがあります。また、「タイガーボード」が当社を代表する製品ですが、その他にも技術開発の成果によって多彩な製品を生み出しています。
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人の話し声(低・中音域での周波数)の吸音性能に優れています。天井高の高い学校の講堂、オフィスビルのエントランスホールや駅のコンコースなどは音が響きやすいため、講演者の声やアナウンスなどが聞きにくくなりがちですが、スクエアトーンを使用することで吸音力が高まり、最適な音響空間を実現します。
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せっこうボードの優れた性能を保持したまま、「シックハウス症候群」の主な原因となっているホルムアルデヒドを吸収し、さらに分解し低減します。さらにはタバコの煙に含まれるアセトアルデヒドの低減効果もあり、クリーンで快適な空間づくりを演出します。
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硬質せっこう板に、高防水、高防カビ性能を付加し、外壁下地用耐力壁としての使用を可能にしました。室内用の内壁材だけでなく、屋外の外壁材への事業展開を進める当社の戦略的商品です。
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超硬質・高強度のせっこうボードです。病院などの病室間の間仕切や廊下、学校の教室壁や体育館の壁面、階段の腰壁部分など、強度を要求される部位に対応しています。
安全で快適な
せっこうボードを幹として新たな3つの枝を伸ばす
現在、国内新設住宅着工件数の減少を主な要因として、住宅設備業界の市場規模も縮小傾向にあります。しかし、吉野石膏はこのような状況を新たな事業に攻め打つチャンスと捉え、内材 一辺倒より、外壁材にも進出するという意欲的な戦略を推進しています。そして、せっこうボードを幹としながらも、せっこうボード以外に枝となる新たな3つの製品の拡充を進めています。これによってせっこうボードとのシナジー効果を高め、内装・外装建材のトップメーカーを目指すと同時に、さらなる競争力の強化、収益性の向上を推進していきます。
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01ロックウール化粧吸音板「ソーラトン」
2011年9月に日東紡績株式会社より「ソーラトン」の製造・販売事業を継承し、千葉県袖ヶ浦に新しい製造工場を竣工しました。「ソーラトン」は主にオフィスビルや商業施設、集合住宅の天井に使用されています。当社が開発しているせっこうボード「スクエアトーン」は低音域を効果的に吸音することに対して、「ソーラトン」は中高音域の吸音性に優れ、空港や駅のコンコースでは、たとえばヒールの足音などの反響音を抑えます。加えて、意匠性が高く高級感のある造型的な美しさを表現できます。また、主原料であるロックウールとは、高炉スラグや岩石などを1,500~1,600℃の高温で融解し、均質で細い繊維状にした人造鉱物繊維であり、アスベストを全く含んでいないことも大きな特徴です。
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02外・内壁材「デラクリート」
吉野石膏にとって初めての外壁材への進出となる「デラクリート」。「デラクリート」は1980年代はじめに世界最大のせっこうボードメーカー、USG社(米国)により開発された、無機軽量骨材入りポルトランドセメントモルタルを芯材に、両面にガラス繊維ネットを埋め込んで補強したセメント系ボードを基材とした外・内壁材システムです。2010年3月、吉野石膏は三菱レイヨン株式会社から「デラクリート」輸入販売権を獲得しました。外壁材の主力製品として主に高級住宅への販売を中心に展開しています。
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03スラグせっこう板「アスノン」
「アスノン」はアスベストを全く含まない健康に配慮した不燃建材です。原材料の80%以上が、工場などの副産物や古紙などの再生材料によって製造されています。たとえば原料の一つである「高炉水砕スラグ」は、製鉄所で鉄以外の成分が高温で溶かされる際に生成される副産物で、かつては産業廃棄物として廃棄されていたものを再生技術の確立によって製品化したものです。せっこうボードと異なり水に強い性質があるため、一般住宅の内装以外にも、軒天井などに使用されます。吉野石膏グループ会社の一つであるエヌビーエル株式会社が製造・販売を行っています。
身近な用途に幅広く利用されている石膏製品
石膏は身近にある製品から、目に見えない箇所まで幅広く利用されています。身近にある製品では、ビールの調整剤や、豆腐の凝固剤など食品添加物。さらにガーデニング用肥料や陶磁器、歯科用にも利用されています。また、建材としての機能だけではなく、艶やかで滑らかな光沢を活かした装飾としても石膏は利用されています。