吉野石膏とはWhat is Yoshino Gypsum
120年以上の歴史を誇る吉野石膏は、何を強みとして、どのような戦略で今日に至っているのでしょうか。
80%以上の製品シェアを誇る「タイガーボード」とは何なのか。
ここでは、まず皆さんに知っていただきたい吉野石膏の基本情報についてご紹介致します。
120年を越える歴史を誇る業界のトップカンパニー
吉野石膏の創業は1901(明治34)年。山形県の吉野鉱山における石膏原石の採掘が始まりです。そして、わが国初のせっこうボードである「タイガーボード」が生まれたのが1922(大正11)年。当時から現在まで、常にトップカンパニーとして業界を牽引しています。また、1948年にはせっこうボード製造の技術を同業他社に公開指導、1950年代から同業他社のM&Aや合弁事業を手がけ、各地に工場を建設し成長を遂げてきました。
好不況が繰り返される経済情勢の変化への対応には、吉野石膏としてもまさに荒波を乗り越えるような地道な努力を積み重ねています。その結果として、いつの時代も変わることなく、圧倒的な市場占有率を誇っており、現在では、せっこうボードの国内市場シェアは80%を超えています。何よりも重要なのは、お客様のニーズに柔軟かつ迅速に対応することです。そのため、吉野石膏では全国レベルで、市場に近い場所に生産工場を保有しています。また、2007年には、最新鋭の技術を投入した世界屈指の生産性を誇る「千葉第三工場」を稼働させています。
少子化による新築住宅着工件数の減少など、
国内需要の大幅増が難しいこともあり、
吉野石膏では4つの新しい挑戦を行っています。
01海外展開の加速
今後、需要拡大が見込める東南アジアを中心に、海外市場を積極的に開拓する方針です。インドネシアに生産工場を稼働中の他、現在ベトナムにも拠点を設け、工場建設を視野に体制づくりを着々と進めています。
02新たな国内市場を開拓
これまでの主力製品の壁材や天井材といった内壁材に加え、床や外壁下地材にも進出しています。遮音性の高いせっこうボードの特徴を生かしアパートやマンションの音漏れに効果的な「タイガー遮音フロアシステム」や、外壁下地材耐力面材「タイガーEXボード」など、建物内外の多彩な製品の開発を進めています。
03高付加価値製品の開発
空気中のホルムアルデヒドを吸収分解する環境に優しい「タイガーハイクリンボード」、吸音効果の高い「タイガースクエアトーン」や「ソーラトン」、磁石がつく「タイガーFeボード」など、時代のニーズを先取りする高付加価値製品の開発を強化しています。
04積極的なM&A戦略
新製品の開発や新市場の開拓を支えるのが「M&A戦略」です。グラスウールの卓越した技術を持つ旭ファイバーグラス社の買収、日東紡績から事業継承したロックウール化粧吸音板「ソーラトン」、不燃紙・セラミックハニカムなどに対する高度な技術力を持つタイガレックス社の設立など、スピード感のある意欲的な事業展開を進めています。
徹底したリサイクルを
実現するせっこうボード
吉野石膏は我が国のせっこうボード業界の草分けとして、石膏一筋に歩んできました。せっこうボードとは、石膏を芯とし、両面を紙でサンドイッチした板状の建材製品で、市場規模は年間1,500億円を越えます。
せっこうボードはリサイクル性が高く、環境に優しい製品です。原料の内、約半分は電力会社や金属精錬所などから出る副産物「副生石膏」を再利用しています。他にも建築現場で排出されるせっこうボードの端材を回収し再利用しています。また、せっこうボードを挟み込む原紙についてもほぼ100%古紙を利用しており、徹底したリサイクルを実現しています。また、製造用水なども100%循環させ、雨水以外は工場外へ一切排水していません。
このように原料から製造まで、環境を常に意識したものづくりが吉野石膏の伝統です。石膏は元々無害であり、粉塵に関しても体内に入っても溶け、すべて体外へ排出されることから、身体に優しい製品と言えます。
健全経営を継続
当社の特徴の一つは、株式を公開していない非上場企業であることです。株式公開や上場するメリットの大きな魅力は、株式市場から資金調達ができる点にありますが、吉野石膏にはその必要がありません。創業以来、独自の経営戦略を展開し堅実経営に徹してきたことで財務体質は極めて優良です。工場建設や機械更新などの大規模な設備投資をする際にも、自前資金で賄えるため、新たに株式や債券を発行し市場から資金調達を行う必要がないことが、株式公開をしない主な理由です。