技術研究所探訪Technical Research Exploration

技術研究所長インタビュー

研究開発が広げる、
新たな石膏の世界

山本 岳史(やまもと たけし) 技術研究所長
1985年入社/鉱山学部 資源化学工学科 無機化学系専攻 卒

吉野石膏の研究開発体制

新製品開発のエンジンとなる研究開発部門

せっこうボードは、施工性に優れ、火災に強く、リサイクル性が高く環境にやさしいという特性を持ち、しかも低価格ということで、他の建材では代替えがきかない建材として広く受け入れられてきました。一方で、メーカーごとの特徴が出しにくい、“顔のない商品”と考えられてきましたが、ボードにさまざまな機能を付加した商品の開発に吉野石膏は成功し、他社の追随を許さない競争力のある商品を世に送り出しています。その開発の核となるのが研究開発部門です。

研究開発部門には「技術研究所」と「商品開発部」の2部門があります。技術研究所は、「ボードグループ」、「プラスター・ドライウォールグループ」、「焼石膏グループ」、「分析グループ」の4つのグループに分かれています。ボードグループはさらに、素材にさまざまな機能や特性を持たせるための研究開発を推進する「機能開発グループ」、グループ企業を含めて28工場で生産されている製品の検査を行う「物性検査グループ」、工場における生産活動の支援などを行う「工場支援グループ」に分かれます。一方、商品開発部では、製品の機能を、耐火、遮音、吸音、耐力、耐環境などの面で、より効果的に発揮させるための工法や構造の開発を行っています。

「技術研究所」と「商品開発部」の両部門間で、互いが取り組んでいる研究や開発業務に関する情報交換を定期的に行い、連携を図っています。素材の研究力と、商品の開発力の両輪が噛み合い、スピード感をもって高付加価値製品をお客様に提供しております。

今後の方向性

新たな用途を切り拓く新製品群

研究所が担当する重要なテーマの一つに、「コストダウン」があります。特に近年の燃料や原料の価格高騰に対し生産コストの削減は、せっこうボードの競争力を維持するために大変重要なテーマです。そのために各種原材料や添加物の開発、選定など、絶え間ない研究を続けています。また、コンパウンドやプラスターといった、せっこうボード以外の製品にも、更なる価値を付加する研究開発を進めています。これらは、せっこうボードと共に内装工事に使用される製品で、その開発には左官や内装に関する技術も必要で、研究所の若手には職人顔負けの技術を身に付けている社員もおります。

せっこうボードの用途拡大に関する研究も重要です。せっこうボードはこれまで、主に壁と天井に使用されてきましたが、最近では、それ以外の用途、床や外壁などに使用範囲を広げる製品を送り出しています。たとえば、硬質石膏板に高い防水・防カビ性能を付加し、外壁下地用耐力面材としての使用を可能にした「タイガーEXボード」や、従来からあるセルフレベリング床用プラスターの断熱性能を向上させた「タイガー断熱フローHC」、ガラス繊維で補強したセメント系の外・内壁材「デラクリート」などです。

また、既存の製品に新しい機能を付加した新製品も開発しています。直接磁石が付くせっこうボードである「タイガーFeボード」や、ガンマ線やエックス線に対して優れた遮蔽性能を発揮する放射線遮蔽ボード「RadBoard®-X」、ロックウール化粧吸音板に消臭機能を付加した「ソーラトン・deo」などがその好例です。新機能を付加することで、せっこうボードの使用範囲は広がり、市場拡大に貢献できるのです。これからの建材市場では、より環境に配慮した製品や安全性を追求したもの、職人などの人出不足を補う施工性に優れた製品など、時代のニーズに応えた性能が期待されています。この期待に応え、さらに時代を先取りする製品を提供するべく、研究開発を続けています。

研究テーマは無限にあるといえます。そのヒントは、現場の声を肌で感じている営業からの提案であったり、特許情報や素材メーカー、商社からの情報、様々な学会誌や世界中の石膏関連の技術情報をまとめた業界誌などに潜んでいます。研究所員は、グローバルジプサム会議などの国際会議に参加したり、海外メーカーとの技術交流、大学との共同研究、企業との共同開発も進めています。

石膏は古くから活用され、化学分野ではかなり研究の進んだ素材と考えられてきましたが、現在はさらに技術開発が進み、そこから新しいものが生まれる、“古くて新しい素材”になりつつあります。これからも、機能面、価格競争力などを含めて、せっこうボードに代わる建材はしばらく出てこないだろうと考えています。私たちが心掛けてきた、「安全で快適な住空間を創り、お客様に提供する」という信念を忘れずに開発してゆけば、これからも必ずお客様に受け入れられる製品を提供できると信じています。

グローバルジプサム会議の広報誌(左)と、無機マテリアル学会の学会誌(右)
人材育成

傾聴とチャレンジ精神が成長の糧

以前は、製造現場で指揮をとれる技術者を育成するためのステップとして技術研究所が位置づけられていました。しかし現在では、新製品開発や品質向上など、技術研究所でしか実現できない研究開発の重要性が高まり、研究開発に専念する専門組織へとその役割が変わっています。もちろん当社の技術者として製造現場での経験は不可欠であり、工場の製造工程を知っているといないのとでは、発想の幅に差が出る可能性はあります。ただ、その人の個性や適性を見極め、研究部門だけではなく、生産部門、商品開発部門、知的財産部門など、いろいろな分野の経験を重ねることで専門性を高めてもらい、多様性のある技術者集団を目指すことが重要と考えます。

技術者として大切なのは、まず、「傾聴」ができることです。現場のお客様の声や営業担当者の意見には、重要な情報や開発のヒントが含まれています。その声に耳を傾け、ポジティブに聴けるということが優秀な技術者の資質といえます。さまざまな情報を開発に生かすことで仕事の幅が広がると思います。また吉野石膏には、新しいことに積極的にチャレンジできる風土があります。失敗を恐れることなく挑戦することで、技術者として大きく成長してほしいと思います。

吉野石膏は、せっこうボードで国内8割を超えるシェアを持っています。ただそれに満足することなく、持てる営業力と技術力を駆使して、インドネシアやベトナムといった海外市場への進出に挑戦しています。こういった飽くなきチャレンジ精神が、さらなる発展の可能性へとつながって行くのです。

当社には、新しい技術への挑戦や、世界市場に挑戦できるチャンスが広がっており、ぜひ、チャレンジ精神を持った人に来てほしいと考えています。同時に、吉野石膏には古い技術や昔から磨き上げてきた素晴らしい技術の蓄積があり、そういった技術にも目を向け、生かせるような人になってほしいと思います。

人それぞれの個性や適性を生かせる会社が吉野石膏です。そして、挑戦する社員一人ひとりをサポートできる会社でもあります。「安全で快適な住空間を創出する」というスローガンのもと、ぜひ私たちと一緒に未来を切り拓きましょう。

山本 岳史(やまもと たけし) 技術研究所長
1985年入社/鉱山学部 資源化学工学科 無機化学系専攻 卒

入社後は、技術研究所を皮切りに、千葉第一工場をはじめ、国内のさまざまな工場現場を経て、2019年技術研究所長に就任。中学時代にサッカー部に所属、現在はテニスを楽しむスポーツマン。読書はSF小説が好きで、栗本薫の著作などを好んで読む。

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