研究開発|化学系(工場)の仕事

現場や製造設備に精通し、

高品質なせっこうボードの効率的な生産を支える

Y.S. 千葉第二工場 製造課
2013年入社/理工学研究科 物質化学工学専攻 修了

私の仕事、苦労と醍醐味

化学工学の知識を生かし、工程全体を俯瞰的に管理

私は製造課に所属し、せっこうボードの工場で生産工程の管理を担当しています。具体的には、生産に必要な原材料の管理や紙などの副資材の準備、24時間まわり続ける製造ラインの問題発見とその解決をすることにより、生産が滞りなく行われるよう目を光らせています。また、製造された製品が規格を満たし、品質を保っているかをチェックし、異常がある場合はすぐに原因を究明して修正するなど、製品の品質管理も重要な仕事です。これらの日常活動以外に、技術本部やグループ会社の高砂製紙と協力して、品質向上やコスト削減のための製造工程の改善や新規製品のテストに取り組むなど、高品質で高効率なせっこうボードの生産を支えています。

製造ラインでは、数多くの規格やさまざまな性能を持つせっこうボードを生産しているため、頻繁に製品切り替えが行われています。製品切り替え時や新製品を製造する時は、生産が安定するまでいろいろな原因で初期不良が発生します。これらの問題究明には石膏の練り具合や添加剤の種類や量、混ぜ方の調整など、化学工学の知識が不可欠で、我々化学系技術者に大きな裁量がゆだねられています。現場での作業は、オペレーターとの協力も不可欠です。自分自身で知識を学んで適切な道筋を導き出し、現場と一体となって製造ラインの問題解決や試験製造などを成功させた時は、大きな達成感が得られます。

学び、今後の目標

千葉第二工場のすべての製造設備に精通したエンジニアを目指す

製造課の仕事をするために、身に付けなければならないのは設備や製造工程の知識です。配属後、先輩からひと通りの知識を教えていただきましたが、あとは現場の経験を通して学んでいきました。特に長年製造に関わっているオペレーターの方々から学べることは多く、わからないことは現場に行って聞くように心がけました。オペレーターも忙しく、ずっと年上の方が多いので、最初はなかなか入り込めませんでしたが、雑談などを通してコミュニケーションを築くことで、設備や現場のことを効率よく学ぶことができました。同時に、信頼関係ができて修理や改善などの作業をスムーズに運べるようになりました。

これまで焼石膏や白口(しろくち:歯科用石膏)、ボードの製造工程に関わってきて、これらについてもさらに経験を積む必要がありますが、今後は、これまで手掛けたことのない工程も幅広く経験したいと考えています。千葉第二工場には「ジプトーン」(※)や「スクエアトーン」(※)のように穴明けなどの二次加工を施すラインもあるので、これら加工工程の製造設備も経験して、この工場の設備では知らないものがないと言えるエンジニアになりたいと考えています。

※「ジプトーン」:天井用に開発された、そのまま貼り付けることができる軽量の化粧せっこうボード ※「スクエアトーン」:人の話し声など低・中音域の吸音性能に優れたせっこうボード。教室や会議室の天井などに使用されています。
エピソード

「長年使われていた部品を見直し、大幅なコスト削減に成功」

以前、焼成機(※)の中で、修理を繰り返している部品がありました。長い間、破損する度に補修を行い、それが繰り返されていました。破損の原因を調べてみると、異種の金属を溶接した部品で、膨張率の違いによってつなぎ目が割れていることがわかりました。

設備は長く使われていたもので、異種の金属を使用することで腐食による破損の対策には非常に効果的でありましたが、その分寿命が短くなっていました。そこで、部品の材質を見直し、単一の金属で作り直したところ、これまでより長く寿命を延ばすことができ、修理費のコストのなどを大幅に削減することができました。入社間もない時期でしたが、これを機に、現場の方からの信頼を獲得し、何でも相談していただけるようになりました。

※「焼成機」:石膏石や化学会社から回収された副生石膏は、粉砕後に多様な添加剤を加え、巨大な焼成器の中で焼くことで、せっこうボードを生産するための原料となる「焼き石膏」が作られます。

1日の仕事の流れ

ミーティング

朝のミーティングで、オペレーターから前日と夜間の製造状況の報告を受け、情報を共有。問題がある場合は、担当者を割り振って素早く対処します。

在庫確認

原料倉庫で資材の在庫を確認。生産に必要な原料を切らさないため、日々のチェックは欠かせません。

工程管理

製品の品質を確認。特に、切り替え直後は、品質が安定しないこともあるため、オペレーターと共に厳しくチェックしている。

品質検査

試験室で原材料やボードを検査。特に、ボードの検査は、常に高品質な製品をお客様にお届けするためには欠かせない重要検査です。

My Item

「コンベックスルール」ボードの幅や寸法、山高を測るため、現場での設備のスペースなどを計測するために常に携行しています。製品を正確に測るために、必ず固定ヅメのものを使用しています。

思い出の1枚

大学院の修士論文では、ねらった研究成果なかなか得られず、何度もあきらめかけましたが、無事完成することができました。論文提 出の後、先生と研究室のメンバーで山形県の赤湯温泉に行った時の1枚です。前列右端が私。

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