専門的な工法や製品情報をユーザーに提供し、
新たな需要を掘り起こす
M.S.
吉野石膏DDセンター 設計開発課 主任
2018年入社(中途)/工学研究科 建築学専攻 修了
販路拡大を後方支援
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DDセンターというのは、「Demand Development Center」の略で、単なる製品のお問い合わせ窓口ではなく、お客様のご要望や潜在的なニーズを発掘し、専門的な立場からお客様に最もメリットのある製品や工法を勧奨し、販路を拡大することが最大の使命です。私は設計開発課に所属し、当社製品のユーザーまたは採用を検討している設計事務所や建設会社などのお客様に対し、製品の規格や特性などについてのお問い合わせに答えたり、耐火壁や耐力壁などの施工方法や、製品や工法の認定についてご説明しています。私を含め社員は建築士の資格を保有する人が多く、専門性を求められる部署と言えます。
当社のせっこうボードは、耐火や遮音、耐力などさまざまな機能の製品があり、各製品ごとに大きさや厚さなどのラインナップが豊富です。それぞれの性能を発揮させるには、最適な工法が求められ、そのアドバイスも重要な仕事です。ときには建築現場に出向き、ヘルメット姿で実際の設計図面を見ながら施工の指導をするなど、手厚いサポートを行っています。
お問い合わせは、一般の方から専門家までと実に幅広い方々からありますので、ご相談に対応する時は先ずは相手の話を聞くことに集中します。そのうえでお客様のご相談の意図を汲み取り、お客様との信頼関係を構築して、営業担当と連携しながら製品の拡販に努めています。私たちが主に対応しているのはマンションや物流倉庫といった大型物件が多く、当社製品が大量に採用された時は、こちらの提案を受け入れていただいたという喜びに加え、販促活動の力になれたという実感で、大きなやりがいを感じます。
常にアンテナを張り、学び、求められる最新情報を提供できる人材に
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DDセンターに配属されて最初にとまどったのは、入社直後に吉野石膏が主催する研修会の講師役をいきなり任された時でした。DDセンターでは、吉野石膏の耐火壁や耐火遮音壁用せっこうボードの施工管理を徹底するため、ライセンスを発行する研修会をユーザーや施工会社向けに実施しています。
最初の半年間、工法や製品など基礎的な勉強をしながら、研修会に同行して先輩の講義の進め方や話し方のコツを学びました。前職の設計事務所で建築設計をしていたので専門的なことを説明するのは得意ですが、大勢の前で講演した経験はありません。ましてや、せっこうボードの施工に立ち会ったこともない私が、お客様の前にいきなり立ち、施工方法についてレクチャーするなど想像もできませんでした。講師を任されるのはまだまだ先と思っていた矢先、予定されていた先輩講師が登壇できなくなり、急遽講師を任されることになったのです。
いざ登壇すると想像以上の緊張感に襲われましたが、とにかく事前準備に努めたお陰で、なんとか研修を終えることができました。回を重ねるごとに講義には慣れましたが、講義時の自分の音声を録音して聞き返すと、話し方や発声に癖があることに気付かされたりと反省することしきりです。よりわかりやすい話し方、講義の進め方を勉強し、講義内容の充実に努めています。
講義だけではなく日々の問い合わせの対応でも、質の向上を心掛けています。私が大切にしているのは、お客様の質問に回答するだけではなく、お客様が何をしたいと思っているのかを考えながら、質問の回答以上のプラスアルファの提案をすることです。そのために他社製品の動向や施工会社の課題、木造耐火の研修会などで最新知識を学び、常にアンテナを張ってアップデートされた情報提供ができるように努めています。
頼られる先輩を目指して
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DDセンターには、全国の設計事務所や建築会社、ハウスメーカーなどから様々な問い合わせが寄せられます。吉野石膏の製品や工法についてはすべてお答えするというのが基本姿勢ですが、なかには私の知識だけでは回答できないものもあります。例えば、何十年も前に絶版した製品に関するものです。建物の改修時に、使用されている当社の古い製品のスペックや工法を知りたいというお客様がいるのです。
そのような場合、まず古いカタログや資料を探します。当社は何十年も前の製品であれ、歴代の担当者によりカタログや資料が丁寧にファイリングされているので、すぐに製品の資料にたどり着くことができ、たいへん重宝しています。しかし、それだけでは問い合わせ内容に答えられないこともあります。そのようなケースでは、社歴の長い先輩を探して話を伺います。どの部署の先輩も突然の私の質問に対し、経験から得た知識を丁寧に教えてくれます。その知識や経験の豊富さには驚くばかりで、先輩方の仕事の積み重ねと、それを次に伝承する人とのつながりが吉野石膏を支えていることを実感します。私も後輩から問われた時には頼りがいのある先輩になるべく、今以上に学びを積んでいこうと思っています。
1日の仕事の流れ
❶ミーティング
毎朝のミーティングで、全社や支店の売上状況、部門長からの伝達事項、各担当者からの連絡などの情報を共有しています。
❷資料作成
近日行われる設計事務所とのオンラインでの打ち合わせのために、外壁下地用耐力面材「タイガーEXハイパー(※2)」の説明資料を作成します。※2「タイガーEXハイパー」:せっこうボードに、高防水、高防カビ性能を付加し、外壁下地用耐力面材としての使用を可能にした外壁下地用耐力面材。
❸電話対応
午後は電話番。電話での問い合わせ対応を課員持ち回りで担当しています。
❹現場へ
ゼネコンのマンション現場に向かう。現地事務所で施工状況や図面を見て納まり(※3)の確認をします。※3「納まり」:建築用語で複数の部材を組み合わせる結合部分を指します。せっこうボードと下地、柱などとの接着や接地具合の「納まりが良い」とか「納まりが悪い」と表現します。
❺研修会
ゼネコン向けの研修会で講師を務めます。耐火壁の施工について作成したパワーポイントの資料を投影し、わかりやすく説明します。
My Item
「iPad」いつも持ち歩いているのがiPadです。施工指導書や資料を入れておくことで、外出時も紙の資料を持ち歩く必要がありませんし、メールでその場から資料を送ったりと重宝しています。
思い出の1枚
デジタルコンテンツ企業、チームラボ社が主催の展示会「チームラボボーダレス」を東京のお台場に子ども達と見に行った時の写真です。平素の仕事とは異なる非日常的な空間デザインの迫力に大いに刺激を受けました。※この原稿は取材当時の内容です。