知的財産管理|知的財産管理の仕事

メーカーの利益を生み出す生命線、

知的財産を守る

M.Y. 知的財産部 課長代理
2003年入社/理工学研究科 物質工学専攻 修了

私の仕事、苦労と醍醐味

社内の知財権全般を管理

特許権や実用新案権、意匠権、商標権などの知的財産権は、生産や営業活動において、製品の差別化や競争力を強化する意味で重要な鍵を握っています。私たち知的財産部はこれらの知的財産権(以下、知財権)の取得と活用及び保護を推進し、当社の知財権全般を管理しています。

仕事内容は、まず、新たに開発した技術をどのような発明として権利にすれば経営に貢献できるかを検討・立案し、実際に特許を出願・権利化し、新技術や新製品に関連する知財権の保護に努めることです。同時に、新技術や新製品が他社の知財権を侵害していないか、目を光らせることも重要な任務です。

とりわけ苦労するのは他社が保有する知財権を侵害してしまうリスクの管理です。当社の技術が他社の知財権を侵害していないかを調べるためには、まず特許に関する膨大なデータベースを閲覧し、侵害が疑わしいものを見つけると、その技術の内容や解釈について詳細に検討しなければなりません。基本的には当社が苦労して開発した新技術を最大限に権利化することを目指していますが、まれに、他社の権利侵害のリスクを発見することがあります。その場合は、開発部門にその旨を伝え理解してもらったうえで、一緒にリスク回避策を検討していきます。ともすると開発者と同じ目線になりがちですが、常に客観的な視点から法的な権利に冷静に対処することを心掛けています。

そのほか、他社との製品の共同開発時などに、知財権に関連する契約書を作成したり、当社のタイガーのロゴマークの製品カタログや資料での使い方など、意匠権、商標権に関して寄せられる問い合わせに対し相談に乗るなど、様々な部門と関わるビジネスネットワークのハブ的な役割も果たしています。

学び、今後の目標

弁理士としての専門性を磨き、グローバルな事業展開に貢献

私は入社以来6年間、工場や技術研究所など技術畑を歩き、基礎研究にも関わるなかで、メーカーにおける知財権の重要性に目覚めました。当時、企業活動のグローバル化が進み世界的に企業間競争が激化していて、いかに自社固有の技術やノウハウで製品を差別化するかが重要性を増していました。しかし、当時の吉野石膏では、開発に当たってまず特許取得を考えるという意識があまりなく、これからの競争を勝ち抜いていくためにはもっと知財権を強化する必要があると感じました。自ら知財権について勉強して当社の発展に寄与したいと考え、知的財産部への配置転換を希望し、それが叶えられました。

特許の業務には、自社技術の知識と特許に関連する法律の知識が必要です。配属後は特許の法律を猛勉強し、実務を行うことで特許制度や申請方法について経験値を積んでいきました。上司からの指導に加え、申請を委任していた代理人弁理士から直接レクチャーを受けられたことはとてもためになりました。

やがて本格的に知財の専門家としてやっていきたいと考えるようになり、弁理士資格を取得することを思い立ちました。予備校に通いながら弁理士試験を受験し、5回目の受験で無事合格することができました。現在、社内ではただ一人弁理士資格を持つ知財担当として活躍しています。

知的財産部の吉田が取得した弁理士の徽章
取得した弁理士の徽章です。

近年、吉野石膏はインドネシア、ベトナムといった東南アジアに進出し、グロバールマーケットでの事業展開を加速させています。こうした環境下では、世界のライバル企業との競争に晒される機会が増えるわけで、自社の知財権を確実に守っていくことは重要テーマの一つです。どのように特許を設定するのか、どうやって当社の権利を守るのか──幅広いアプローチの中から、先々のことを考えながら、最も会社に利益が出る戦略を提案していくことが求められます。

今後は実務経験を重ね、より深い知識の習得や最新情報を学ぶ事で、弁理士としての専門性に磨きをかけ、高度な知的財産サービスを提供できる、吉野石膏の知財を背負う人材になっていきたいと思っています。

エピソード

審判官3名の前でプレゼンし、特許権を勝ち取った経験

特許権の取得には、申請の実務や特許庁との交渉など、私たち知財権専門家のスキルが必要です。出願に向けては、まず開発担当者と一緒に技術のポイントや申請の狙い、国内外の既存特許の状況などをにらみながら戦略を立てていきます。出願すると特許庁の審査が行われますが、類似技術が登録されていたり、特許権を付与するに値しないと判断された場合は、その理由を記した拒絶理由通知が戻ってきます。

拒絶されても、簡単に引き下がるわけにはいきません。特許権が認められるか否かは当社の事業戦略において重要な問題だからです。一度拒絶されても、不服を申し立てる手続きにより、審査内容をひっくり返すことができることがあります。このような手続きを経て、特許権を取得できるかは、まさに私たちの腕の見せどころと言えるでしょう。

私は以前、拒絶された案件の審判を請求し、特許庁で3人の審判官を前に、プレゼンをしたことがあります。準備として、その技術がなぜ特許に値する発明と考えられるのか、審判官の拒絶の判断が間違っていることを論証する論理構成を異なる切り口で何通りも考え、最も説得力のあるものを選んで書類にまとめました。3名の審査官のうち2名が書類に目を通した段階で、「特許として認めるに値する」という印象を持っていただき、プレゼン後は審判官全員が特許を承認する判断に変わり、特許権を取得することができました。

拒絶に対する不服の審判を請求することは時々ありますが、審判官を前にしてプレゼンする機会はめったにないので、緊張しましたがとても良い経験になりました。これからも特許権を取得することで、当社の技術者が苦労してたどり着いた貴重な研究成果を無駄にすることなく、経営にも貢献していきたいと考えています。

1日の仕事の流れ

出願した特許の調査をする知的財産部の吉田

特許権の動向を調査

PCに向かって、他社が出願した特許権の動向を調査します。特許権はデータベース化されており、膨大なデータの中から当社に関係がありそうなものを抽出してチェックしています。

特許の状況を上司と打合せする知財担当の吉田

上司と打合せ

現在開発中の技術について、どのようなポイントで特許を出願するか、上司と打合せを行います。既存の特許の状況などを説明し、開発の進行状況や内容、申請の時期などについて詳細を決めていきます。

営業から特許侵害の電話の問い合わせに答える知財担当の吉田

電話対応

営業担当からの電話の問い合わせに対応。お客様から、当社の製品が他社の特許を侵害しているのではないかという連絡があったということで、その内容を詳しくヒアリングし、対応策をアドバイスします。

部下からの質問には丁寧に対応し説明します

部下からの相談を受ける

部下から質問には丁寧に答えます。私も当初はわからないことだらけでしたので、資料を使ったり、現場に一緒に出向いたりして、なるべくわかりやすく具体的に説明するように努めています。

インドネシアなど海外の特許案件の申請書類を確認する知財担当の吉田

申請書類の確認

出願中の案件はすべてファイルにまとめられています。現在関わっている海外の特許案件について、申請書類を確認します。新たな出願にあたり、過去事例をチェックすることもあります。

My Item

ノートパソコン、スタライスペン、無線ルーターが私の仕事必携品。

「ノートパソコン、スタライスペン、無線ルーター」仕事をする上で欠かせない三種の神器です。パソコンと無線ルーターさえあれば、いつでも、どこでもデータベースにアクセスし、仕事ができます。最近は、Web会議が増えたので、PC画面上で簡単に操作ができるスタライスペンも大活躍しています。

思い出の1枚

車好きで、入社2年目に「アルファロメオ147TI」を購入しました。こだわりのマニュアル車です。以来、ずっと乗り続けており、休みのたびに遠乗りをしてリフレッシュしています。※この原稿は取材当時の内容です。

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